後手の優位(2)

2011年8月16日 MTG
②一般的に言われる後手の優位に対する検証

見たことがあるのは
・「後手は対戦相手より1枚多くドローできる分有利になれる」
・「後手の方がボムに先にたどり着けるので勝てる」
という表現で、それぞれ突っ込みどころがある。

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後手の優位を説明する際に

「後手は対戦相手より1枚多くドローできる分有利になれる」

と説明してしまうのは迂闊である。

「後手は先手を取った場合よりも同じターンに1枚多くドローできる」

ならば正しい。

まず対戦相手よりも多くのカードが引けていることが後手の優位の正体であるなら
後手だけがマリガンした場合、きれいさっぱりその優位は消し飛んでしまうことになる。

一方で先手の優位はマリガンしてもなくならない。(キツイけど)


プレイ感覚的にはそうとは思えない。
むしろ「ワンマリだけど、後手だし何とかなるか」とか思ってしまう。

これは対戦相手と比べて枚数がどうというよりも
「もし先手だったらマリガンスタートでキツかった」という状況と比較しての感想と思われる。

何回マリガンしても、第nターンに
自分が先手を取った場合よりは1枚多くライブラリーからカードが引けることは確かだ。




また、たとえ両者にマリガンがなかったとしても「対戦相手よりも多く」はやや怪しい。
先手にとってのアンタップステップ・セットランドと同様に「先に」の間違いだろう。

ここでベス・モーザンドの言葉に立ち返って後手の優位を考えると

「ゲーム開始時にはマナに制限がかかっており、
 終盤では呪文の枚数に制限がかかっている」

のうち、終盤の呪文の枚数に制限がかかった状態のとき、
後手が先に呪文を引くことでアドバンテージが得られるだろうか。

状況としては先手・後手はお互い呪文を使い尽くした結果、
場には十分なマナは展開されているものの場は膠着しており、
トップデッキのめくり合いとなった状態だろうか。

確かに膠着状態の打破に関しては後手の方が確率的に優位、と言えなくもない、かもしれない。

しかし現代のカードパワーではリミテッドですら膠着状態に陥ることは珍しい。

また後手がうまく先手のテンポを殺して膠着状態に持ち込んだとしても
先手で同じカードをプレイしていれば既に勝ちに繋がる大きなアドバンテージとなっていたはず。
膠着状態に強いことが積極的に後手を取る理由にはなりえない。


大体手札のカードが使い切られているような状態では
《予言》なり《グレイブディガー》なりチャンプブロックの強要なり
カードアドバンテージのやりとりは行われている。

そしてそういったチャンスを生かせるのは
むしろマナを一方的に供給されるタイミングのある先手の方である。

ゲーム終盤において、ゲーム中先にカードを引き始めた事実は
割とどうでもいいことと言わざるを得ない。


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・「後手の方がボムに先にたどり着けるので勝てる」

自分が先手を取った場合に比べて1ターン早くボムが引けるという主張のようだが
先手としてのテンポ的な優位を築けていれば1ターンのずれは大した問題ではない。

テンポ的な優位を築くことが「できない」のであれば一考の価値はあるかもしれないが
「できない」デッキが対戦相手に先手を明け渡すリスクはそれなりに大きい。


対戦相手と比べてたくさん掘りたいという意味であればやはりマリガンが許されなくなるし
そもそも《定業》1発で逆転されてしまう。

大体対戦相手とキーカードの掘り当てを競争することを考えた場合
後手を取る意味があるのはライブラリーの上から数えて同じ位置にそのカードがあった場合「だけ」だ。
1枚以上上にあった場合は先手でも先に引くことができるし
1枚以上下にあった場合後手でも先に引くことはできない。

それでも無意味とは言わないが先手の優位が勝ちに直結し得るのに対して
あまりにも小さく頼りないと言わざるをえない。

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今回をまとめると
「後手は先手を取った場合よりも同じターンに1枚多くドローできる」
「後手の方がボムに先にたどり着けるので勝てる」
に対しては
・そうかもしれないがこれらが生かせる目は先手の優位に比べて確率的に非常に小さい
・後手は終盤有利になるのかと思ったがそんなことはなかったぜ


これらの表現に対しては否定的ながら、
俺は後手の優位は存在すると考えているし、
積極的に後手を取りに行くシチュエーションもありうると考えている。


次回は俺の考える後手の優位と
③後手の優位が生かせる状況

について書く。

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